雑談が止まらない

人生は闇鍋。推しも部屋も頭の中もごっちゃごちゃ!

岸辺露伴ルーヴルへ行く ノベライズ版感想

 映画を2回見た後、ノベライズ版を読んだ人の感想です。

 映画の内容にも少し言及しています。(1回目、普通に見た。2回目、オーディオコメンタリー聞きながら見た) 

 

 ※映画1回目の感想はこちらから↓(オーコメの感想もまとめたい…)

cowcowcow-mow.hatenablog.com

 

 ここから、ノベライズ読んだ感想を気になったところから自由に書いてます。

(映画の感想も、まさかの山村パートから書いてる…どんだけ仁左衛門に心もってかれてるんだろうワタシ…)

 

 終章にあたる奈々瀬の独白を文字で読むことで、映像で見た時より更に悲しくてやりきれなかった。『深い慕情も過ぎれば、滲ませすぎた墨が紙を破るのにも似た道理…』の箇所でうるうるきて、以降のページはえぐえぐ泣きながら読んでた(涙)
 奈々瀬は、手の届く距離で小さな幸せをみつける満ち足りた人。一方仁左衛門は、遠い理想を追うことに喜びを見いだす飢えた人。自分とまるで性質の違う夫。助けたい癒したいと思っても、彼の苦しみも求めているものもわからない。奈々瀬なりに夫のためを想っての行動が全て「間違いでした」の独白が悲しすぎて……。  
 だからせめて「似ている」露伴の暴走は、どうしても止めたくてあの『原稿用紙ズタズタ』シーンになったんだ……と思うと感慨深い。

 荒木先生の漫画で初めて『原稿用紙ズタズタ』シーンを見た時は「ちょ、ちょ!露伴先生の初恋、強烈過ぎひん!?wこんなんトラウマもんやん…」と少し心配?になったけど、映画とノベライズのおかげで「先生、素敵な恋でしたね…」と。岸辺露伴の初恋を、私自身が肯定することができました。(何目線!?w) 苦悩する若き露伴先生の心情も、文字で読むことでどっぷり感情移入できたし。
 だから終章ラストに『きっとあの夏の〈慕情〉が〈後悔〉となって露伴の前に現れて…』という一文に出会った瞬間「十代でどんだけエモい初恋してるんだよ…さすがオレたちの先生だわ…」とめっちゃ痺れた。

 

 

 

 また映像からも対比の美しさは感じていた(白い長尾露伴と黒い高橋露伴、しっとりした風情が美しい日本の夏の夜と、霞んで乾いた朝の空気が荘厳な冬のパリ…など)けど、文字で読むことでより感じたし、見過ごしていた箇所に気が付けた。(特に倉庫の場面)
 光と闇。白と黒。そして天国と地獄の対比が凄まじい。以下一例。

・最も光を愛した画家フェルメールの絵と、闇しか映さない山村仁左衛門のこの世で最も黒い絵。
・地獄絵図と化した地下倉庫と、それを救う露伴のギフト天国への扉〈ヘブンズ・ドアー〉。
・死者故に黒いページにしかならない山村仁左衛門と、記憶をなくすことで真っ白なページになった岸辺露伴
・後悔という名の闇に引き込まれて呪われた黒い絵と化した奈々瀬と、まっさらで純粋な白いキャンバスのような光の化身、泉京香。

 そうして『光と白』の力で、『闇と黒』を相手に戦い続けた岸辺露伴が全てを解決した後自宅で『後悔は人を蝕む黒い毒だが、人はその黒をつかって物語を描ける。』と言う。
 過去を克服した露伴が、黒に『闇と光』の二つを見出すこのラストから、未来しか感じなかった。感動。

 

 

 そして泉くんは、最初から最後まで光の化身だったw。あの娘は、生ける魔除けwなのか!?
 映画では奈々瀬のスケッチを岸辺邸で拾ってサラッと戻すだけで、泉くんのモノローグとかなかった…ですよね!?(2回しか見てないから自信なくなってきた)
 ノベライズ読んで露伴に求めているのは、面白い漫画を描いて締め切りを守ってくれることだけ』って!そんなこと考えてたんだなぁ〜、と感じ入った。傲慢なw漫画家と対等にやりあう編集者の矜持を見た。カッコよくて、更に好きになったよ。  
 まさに泉京香は、立ち入らない。ですね。
 エマさんへの天使対応を含めて、なにもかもが大人だ……。かなり年下だけど見習いたいよ……。

 

 

 

 まとめ:映画見てから読んだノベライズ、すんげぇよかったぁ〜!

 

 

※未読の方は、是非ご一読ください。電子版もあるよ!(ワタクシも電子版で拝読しました)

www.kinokuniya.co.jp